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アイドルを斜めから観察してます。

スーベニア~騒音の歌姫~ 2/27 マチネ②

①の続きです。

ジェンキンスとデューク以外の各キャラ・役者さんへの感想から。

 

 

■コスメ(オレノグラフティ)
これ、原作の戯曲ではコスメが2番手だったんじゃないかなぁ・・・。主演のジェンキンスに対して、唯一対になれてた役だったと思う。
音楽が好きで、だからこそジェンキンスの歌声が許せなくて、音楽が好きだからこそジェンキンスの情熱が誰よりもわかって…。それから成功したいという野心もあって。今回の登場人物の中では一番魅力的に書かれていたというか、ちゃんとキャラが作られていたというか…。それでも、2幕冒頭で急に怒ってるのは??だったけれど。
 
オレノさんは歌って踊って芝居の核になってピアノまで生演奏しちゃう八面六臂すぎる大活躍。大きな動きも多いせいか、登場して15分くらいでもう汗だくになってました。早口のときも、小さな声のときも聞き取りにくいということが全くなくて流石だな!と。後半、カーネギーで演奏しているときが本当に嬉しそうで楽しそうで。それまでのコスメの苛立ちやそれでも何とかジェンキンスの助けになりたい気持ちにだいぶ共感できていたので、本当に「良かったね、コスメ・・・」とジーンときました。そんな風に気持ちを持っていけるだけの演技をオレノさんがしてくれたんだと思う。
本当に本当に今回の芝居の核だったと思う。こんな何でもできる人、よく見つけてきたな!劇団・鹿殺しは名前しか聞いたことなかったんですけど*1、これをきっかけに見てみたくなりました。
 
 
■ミーシャ(菊地美香
コスメの次にちゃんとキャラクターがたっていた印象。歌が上手いけれど、別に歌が大好きっていうわけではない感じが最初のシーンでよく伝わってきて(演出ではなく役者さんの力量によるところが多いけど)、だからこそ後半にスタイリストへ転身するストーリーへの無理を最小限にしてた。だんだん、ジェンキンスの娘のような立場になってきた感じかな?娘というか孫?
大好きってわけじゃないにしても、真面目に音楽をやっていた立場だろうからジェンキンスとコスメが対立するときはいつも間に立っているような気がした。きっとどっちの側の気持ちもわかるんだろうな…。
 
菊池さんはShockに出ていたのは知っていたけれど*2きちんと見るのは初めて。(たぶん)凄く見た目も声もかわいらしかった!!最初の夜の女王のアリアがいわゆるクラシック歌唱とも地声歌唱とも違う感じなんだけど、凄くきれいに抜ける高音でうっとりしました。近くで見て、凄く目がキラキラしていてね…。とても自分より年上とは思えない…可愛い…。お芝居も、凄く心情の移りが自然で、2幕冒頭の「コスメ、言いすぎよ」って言うときの感じがとてもハッとしました。上手くいえないけど、ただコスメを責めているのではなくて、言ってしまったコスメのことも心配しているような言い回しで…。声優さんって坂本真綾さんしかり平野綾ちゃんしかり、ミュージカルと相性がいい人多いですね。
 
 
■ ジャニス (星奈優里
最初の記事にも書いたけれど、この役いる???ねえいる???レコード発売の話はいつもみたいに勝手にジェンキンスがオファーを受けちゃった話にすれば良いし、ラストに客席から叫ぶのはデュークでもタイラーでも良かったんじゃ???1人だけ出番が極端に少ない上に1幕ラストから2幕冒頭が人格変わりすぎてて…。
 
人気ソプラノ歌手っていう役どころだけど、そもそもゆりさんの歌声もゴニョゴニョっていう感じなので…。だったらせめてゆりさんじゃなくて純名里沙さんとか、あすかちゃんとかかなみちゃんとか、元トップじゃなくてもいいならそれこそエリザにも出てたそんちゃんとかりりこちゃんとか、なんかもっと他にさ…。いや、私、ゆりさん好きなんですよ!好きだからこそ良さを活かせないどころか苦手が引き立つ役、しかもあんまり美味しくない役をやられると…。ゆりさんは踊ってなんぼの人なんですよ!!!
とはいえ、最初の黒のドレス着てるときとか、相変わらず所作の美しさと品と艶っぽさが出ていて良かったな!!!*3
 
 
■ タイラー (池田努
この役いるかなパート2。いや、ジャニスより格段に出番もキャラ付けもされてますよ。でもさ、タイラーの役割もやっぱり最初にコスメとジェンキンスを引き合わせただけなんだよね…。あとは落ち込んだり迷ったりするコスメを慰める役。ジェンキンス唯一の親類ってことだけど…で?っていう。ジェンキンスとの関わりも「おばさん、金ちょーだい」くらいしかなくて。他のいつものメンバーと比べると、ジェンキンスのことをどう思っているのかも薄いんだよね…。金づる以上の気持ちもあるしきっと「変人だけどいい人、応援してあげたい」って気持ちがあるのも伝わるけど、それが脚本・演出によるものじゃなくて役者さんの演技頼りっていうのがなぁ。
っていうかこの記事書くために改めて公式サイトを確認してたんだけど、タイラーも夢を持ってNYに来てたの!!!???ミーシャも実はミュージカル女優っていう設定だったの???そんな設定、どっかで活かされてましたっけ???だったらもっとさー、タイラーなら「俺は夢を叶えられなかったけど、おばさんにはその分頑張って欲しいんだ」くらいのシーンとかあってもいいんじゃ…。
 
池田努さんは背も高くてスタイルも顔も声も良いし、台詞もよく通るし、さらに踊りも歌も上手いし(ぶっちゃけ声量は京本くんよりあった)、てっきりミュージカル系舞台畑の人なんだと思ってたらまさかの石原軍団という…!!!しかもあんまり舞台出てないじゃん!!!もったいない!!!もっとたくさん舞台で見てみたいなと思った役者さんでした。
 
 
 
うーん、 なんか本当に基の題材は面白いし、出演者のレベルもそこそこ高いんだけどんんん…。ってなる舞台でした。
やっぱりムダなシーンがあって必要なシーンがない…。どう考えてもジェンキンスの歌のシーンはもっと削っていい。特に2幕。(ジェンキンスが下手なのは最初で十分わかってるんで)
そもそも演出家は何を見せたかったんだろう。行く前の期待は主人公の情熱が周囲の人間を巻き込んでいく人間模様だったんだけど、それにしては前の記事に書いたとおり、主人公側から周囲の人間への矢印がほぼないし。
基本的に主人公は「だってだって○○なんだもの、そうでしょう?」って駄々こねて、デュークが「そうです!」ってなってコスメが反発してそれをミーシャとタイラーがなだめて…っていうのを延々2時間繰り返してる感じ。
後、主人公役はやっぱり本当は歌が上手い人のほうがいいんじゃないかと…。でないと最後の「本当はジェンキンスの心に流れていた音楽はこうだった」みたいなセリフが全然活きてこない。
自分の好みじゃない舞台っていうのは勿論今までだってたくさんあったし、演出下手だなー合わないなーと思うこともあったけど、なんていうか「何がしたくてこの芝居をやったんだろう…?」と疑問になったのは初めてかもしれない…。
 
もう批判覚悟で書いてしまえば、アフタートークつけてきたことから分かるように、 この舞台における京本くんは完全に客寄せだよね。だからあんな都合の良いような薄いキャラの役どころなんだと思う。なんかもう、演出家が「はいはい、こういうの好きでしょ?可愛いでしょ?こういうの見れればファンは喜ぶんでしょ?」って思っているのが透けて見える。 2幕のセレナータのシーンなんかまさにそう。そうだよ、好きだよ可愛いよ。私が舞台や演劇が好きじゃなくてただのジャニオタなら「デュークちゃんマジ天使!!」って思って終わりに出来たかもしれない。でもそうじゃないので「アレ何?何の意図があってあのシーンいきなり差し込んでるの?」ってなっちゃう。
やっぱり私、コクーンでやるからにはそれにふさわしい演劇を見たかった。コクーンの舞台に立つこと、あそこで興業うつことを夢見て頑張っている演劇人たちはたくさんいるんだよ。そういう思いに負けないような素晴らしいものが見たかったです…。*4
 
 
と、 ここまで書いてきて何ですが、これはあくまでも私個人の感想なので‼
この芝居を見て感動して泣いた人も楽しかったと思った人も、ただただ大我ちゃん可愛いだった人も全部全部正解ですよ。同じものを見ても色んな感想があるのもまた、演劇の楽しいところだと思ってます。
 

*1:確か古田新太さんが好きって言ってたはず…

*2:Shockのお写真のときはそこまで小柄と思わなかったのはたぶん座長がゲフンゲフン

*3:逆にそのくらいしか言及のしようがない…

*4:ぶっちゃけると同じ理由でジャニワも嫌いだし、去年の少年たちもモヤモヤした